丁未風致公園とシナモンドーナツ

 お気に入りの休憩スポット、夕張の丁未風致公園が開いていなかった。毎年だいたいゴールデンウィーク前後、万字峠の冬季通行止め解除と共に開園していたが、今年は6月1日から。つまり今日が開園日だった。

 他にもそれを目当てにやってきた人がいたらしく、入り口の前に何台かクルマが停まっていた。通りがかりのご夫婦とも「去年までは中に入れたんですけどね」「中は綺麗に整備されているのに」「勿体ない」と言葉を交わした。各々無念の表情であるが、どうせ開いていたところで公園施設は封鎖されていて駐車場にクルマを停めることしかできない。にも関わらず、わざわざやって来る人がいたのを知って、ちょっとした連帯意識のようなものも生まれた。

 心配事はこの休園が夕張市の財政状況によるものなのかどうかだが、どうやら例の非常事態宣言に合わせて開園日が伸びただけのようだ。昨日更新された夕張市のwebによれば、今年の開園期間は「令和3年6月21日から令和3年10月31日まで」。発令の延長でまた変更もあるようだが、だったら看板にそう書いておいておくれよ。

 良くないニュースは出尽くした感のある夕張だが、夕張検索のついでにうさぎやさんが店舗兼工場を新設したというニュースを見つけた。似たようなものは世の中にたくさんあるが、ここのシナモンドーナツは絶品だ。特にこの公園でコーヒーをすすりながらつまむのが最高によろしい。

 丁未風致公園ファンの皆さん、いつかまた会おう。

カオチン連帯反応

 カチオン。

 この単語をあなたはどう読むだろう。清い心の持ち主なら必ずカオチンと読むはずだ。そもそも、それ以外に読みようがない。これはカオチンだ。

 ところで建築用資材にカオチンポリマーセメントという材料がある。かつてウルトラマンコスモスが子供に大人気だったように、切りどころを選ぶと楽しくなってしまう単語の配列だ。

 こんなふざけた名前を付けられたカオチンって何だっけとググったところ、

 もしかして: [カチオン]

 と表示された。

 AIの心は汚れていると思った。

 そして私のような清い心を持つ仲間は、こんな下落の一途を辿る我が国においても大勢いるのだと確信した。みんな各々の持ち場でがんばれ。

我スプリントす

 なんとスプリント区間タイムでトップになり、ポイント賞ジャージをもらってしまった。ツールだったらマイヨベルデ、ジロだったらマリアチクラミーノ、ヴエルタならマイヨプントスですよ。プントスプントス、我スプリントす。

 ついでに最高出力が600Wを超えたとかで、スペシャライズドのターマックが当たってしまった。バーチャルだけど。

 こうして適当にユーザーをおだてておけばサブスクリプションも切られないだろうというサービス側の目論見も感じないではないが、スプリントで他人を出し抜くのはリアルでは不可能なので、こうして自慢する程度には嬉しい。

 プロテイン飲んで寝よう。

負荷バカ

 ローラー台に取り付けた自動負荷装置の要・不要問題。それを問題にしているのは私だけのような気もするが、それなりに「要」も見出しつつある。

 半固定式のGT Rollerについて、私はペダリングで重心が揺れるところにリアルさを感じていた。つまり固定式より不安定なのが良いのである、と。

 実際、下手をするとコケる。私はサドルを跨ぐ際に足を滑らせ、ローラー台ごと倒してしまい、GT Rollerの命であるモーションコントローラー、平たく言うとフロントフォークを支えるスチールの棒を曲げて、メーカー送りとなった。購入1週間目くらいの出来事であった。気をつけられたし。

 世間で言われる半固定式のメリットは「ダンシングできる」こと。要するに立ち漕ぎなのだが、私はやったことがなかった。負荷が軽いと、立とうとするだけでペダルが回ってしまい、腕とハンドルで身体を支えなければならないから。立ち漕ぎするなら手動で負荷を高くするか、ギアを上げる必要がある。だけど軽い負荷で楽できる。それがローラーの良いところではないか。

 人間というものは、わざわざ自分に試練を与えるような選択をしないものだ。立ち漕ぎなんて、世間に出ればいつでもできるじゃないか。苦労なんてシャバですればいいのだ。ゲームに課金までしてするものではない。

 そんな人間に対しても、容赦なく試練を与えるのが自動負荷装置だ。レース映像のような画面のせいなのか、放っておくとアバターにごぼう抜きにされるのがよほど嫌なのか、その理由は分からないが、山岳やスプリントの計測区間が現れると自然にムクっと立ち上がり、その結果としての区間タイムや順位まで確認するようになった。人間というのは変わる。環境次第でいくらでも。

 なにより高い負荷から解放された束の間に、ちょっとした快楽が訪れることに気付いてしまった。つらい山岳路が大好きな人を「坂バカ」と言ったりするが、だったらこっちは「負荷バカ」だと思う。齢57にして私もそんなバカになってしまったのかも知れません。

スマートって何だろう

 Zwiftをやるにあたって、GROWTACというメーカーのGT-ROLLER F3.2というローラー台を買った。

 ローラー台というのは、自転車をエアロバイク化するもので、ウォームアップや屋外で走れない時のトレーニングに使う。競輪選手が使うような「3本ローラー」と、ロードの選手が屋外で使う「固定ローラー」がその代表。

 3本ローラーは前後輪のジャイロ効果で自立するから、前に進まないだけでバランスの取り方は実際と同じ。その代わりうっかりすると転倒するし、車輪は高速で回転しているから大変だ。それに音が喧しい。

 後輪の車軸を固定する固定ローラーには、そうしたリスクはない。その代わり自転車もガッチリ固定されてバランス感覚は用がないし、ペダルに何かを引きずる抵抗を感じるだけで面白くない。あれはプロが高い意識を持って修行に使う道具だと思っている。

 その点、GT-ROLLERは、なかなか楽しい。前輪を外してフォークを固定し、後輪を2本のローラーに乗せる「ハイブリッドローラー」。3本ローラーと固定式の折衷案のようなもので、左右に振れる後輪の動きは3本ローラーに近く、フォークを固定する支柱も前後左右に動くので、バランスを取りながらペダリングしている感覚も得られる。

 これでZwiftのコースをポタリング感覚で2ヶ月ほど楽しんだ。自転車にスピードセンサーかパワーメーターが付いていれば、どんなローラー台でもZwiftはできるが、Zwiftに特化したような「スマートトレーナー」というものもある。略してスマトレ。

 多くは後輪の代わりに装着するスタンドのようなスタイルで、トレーナー側のギアにチェーンをかけて駆動する。パワーの計測もできるし、コースの勾配と負荷の連動もできる。要するにZwiftの入出力に対応した自転車用インターフェースのようなものだ。

 笑っちゃうのは勾配に応じて前輪が持ち上がったり、速度によって風力が変わる扇風機のようなオプションまであること。「うおおお、激坂苦しい」「空気抵抗があああ」といった、現実の道を走れば必ず巻き起こる悲喜交交の感情をネットサービスがもたらしてくれるのだ。そんなスマートって何だろうと思わなくもないが、VR的な演出としては王道だし、やってみたら多分面白いだろう。

 それでもローラーの仕組みは固定ローラーと同じだから、自転車はトレーナーにがっちり掴まれたまま。そこは各社工夫を凝らして実走感を追求しているようだが、おおむねデカいし、試しに買うには値段も高い。その点、GROWTACはコンパクトで、日本製の割にそんなに高くはなかった。

 そんなGT-ROLLERにも、別売の負荷ユニットを取り付けるとスマトレ化できるという。もちろんやってみた。で、今のところの感想は、やはり「スマートって何だろう」。

 屋内サイクリングのメリットは、自分のペースで好きなだけペダルを回し続けられることだ、と私は思っている。公道に出ると信号や他の交通もあってペースは乱れるし、坂や風も同じように邪魔をしてくる。だから「ああローラーっていいなあ」と満足していた。そのメリットを台無しにする装置を、わざわざお金を払って取り付けてしまったのだ。

 もちろんトレーニングにはなるのだろう。苦難は人を鍛える。ただ私は有酸素運動で気持ち良くなりたいだけの不届き千万な素人だ。慣れてしまえば脚にわずかな重さを感じるだけで現実の坂を思い浮かべ恍惚となれる、そんな日が来るのかも知れないが、今のところ苦しみの値が増減するだけだし、そもそも坂は苦手だ。

 もう少し様子を見たい。

Zwiftを始めた

 北海道に帰ってきて太り、コロナで太り、減量要素の一切ない生活のおかげで大変なことになってきた。着るものがなくなっても買えばいいが、そろそろ軽いカーボンバイクの重量制限に引っかかる。これはヤバい。乗れる自転車がなければ買えない。買えないのが何よりつらい。

 そこで一念発起して、引越しのために分解したままだったロードレーサーを組み立て、Zwiftを始めることにした。今年は一念発起することが多い。いちいち一念発起でもしないと腰が重くて動かないのだ、物理的にも。

 一応は室内サイクリングアプリということになっているが、人によって見方はいろいろあるはず。トレーニングツールでもあり、レーシングゲームでもあり、その観戦用アプリでもある。こないだフランク・シュレクにフォローされて嬉しかったりしたから、SNSでもある。

 ローラー台のような屋内トレーナーは忍耐力の試される苦行だったが、Zwiftをにはそれを一切感じない。このために買ったGrowtacのハイブリッドトレーナーの出来がすごくいいのもあるが、サイクリスト向けのネットサービスとしてツボを押さえた作りに感心するし、用意された世界に積極的に没入することさえできる。

 スマートトレーナーの需要増で経営を持ち直したメーカーもあるそうだし、インドアサイクリング専用のウェアやシューズなんてものも売られているから、もう自転車趣味の一角を占めるジャンルになっているのだろう。

 最近はマウンテンバイクとロードレーサーの中間のようなグラベルロードというタイプの自転車が人気らしいが、あれは室内でトレーニングしている人が、どうせ実世界を走るならサイクリングロード以外も走りたいというので買っているのではないか。なんて他人事のように説明しながら私はグラベルロードを買おうとしている。

 私の自転車操業は続く。

復旧の日

 Wordpressの管理画面が崩れてしまい、どうにも使いにくくて放置していたのだが、一念発起して「Wordpress 管理画面 崩れる」で検索したら、すぐに原因が分かって5分で復旧。Hello Word!

地の果ては獄

 北海道は狭い。嘘だと思うなら旅行計画を立てみると良い。札幌圏からクルマでどこへ行こうと、400kmも走れば行き止まり。その先は海だ。これが首都圏なら、北上すれば下北半島の先まで800km、南下すると1500kmは道路が途切れない。羨ましい。

 結局、何泊かして距離を走ろうとすれば、周遊型のルートにならざるを得ない。何もかも投げ捨て、地の果てまで飛ばしてやろうと企んでも、ここはすでに地の果てなのだ。

 google mapとにらめっこが続いたから、kindleで山田風太郎でも読もうかと思った。

断捨離Instagram

 Shut It Down!

 Instagramはローカル検索に便利なのでサービスは使いたいが、投稿は消したい。一括コンテンツ削除ツールみたいな怪しいものは使いたくないので、アカウントを削除して作り直すのが手っ取り早いが、満島ひかりがやめたときも、1件づつ消していたなあと思いながら、何らかのアートのつもりで手で消している。電力と電波の無駄でしかないが、先月から暇を見つけては作業して、4桁の投稿がやっと3桁になった。

 震災の数日前にアカウントを作ったので、その間の混乱ぶりが垣間見えたり、取り壊された建物や、もう亡くなってしまった人も写っていて、普通に撮った身辺記録が2010年代のダイジェストになっているから写真はすげえと思うし、何かを言おうとして意図的に撮ったものからは、もはや何の意味も感じないから、やっぱり写真はすげえと思う。

ネットの終活

wordpressを復活させたら他を使う理由がなくなってしまった。

後々ネタとして使えるように、細々とした事はnoteに書いていたけど、あれはブログに課金機能が付いただけのようなものだ。他人に読まれる前提で書いていないものに課金もないわけで、結局、使う意味を見つけられなかった。決済機能だけプラグインでリリースすればいいのにね。

と言う訳で、ここに全部集約する事にする。

これはネット上の終活としても正しい。料金の支払いが停止すれば、ドメインもサーバのデータも消える。fbやtwみたいに代理人を立ててアカウントの処理をする必要がない。

言いたい時に言いたいことを言って、あとは消えるだけ。